











本作は将来のサービス構想を描いたフィクションです。空き状況表示・自動概算見積もり・約10分の回答は、現在提供中の機能や回答時間の保証ではありません。
はじめに|運送会社を見つけた、その次は?
前回の「北条くんの日常」では、AIを活用した情報発信について取り上げました。
北条送運がどのような配送に対応できるのか。
どんな仕事を得意としているのか。
その情報をホームページで正確に発信することで、物流に困っている荷主企業様が、自社に合った運送会社を見つけやすくなる。
そんな考え方を紹介しました。
しかし、運送会社が見つかれば、それですべて解決するわけではありません。
荷主企業様には、その次に知りたいことがあります。
「この荷物、運んでもらえる?」
「それで、いくらかかるの?」
今回は、北条送運合同会社の代表・益子に、運送見積もりのハードルを下げるためのAI活用について話を聞きました。
なお、今回紹介するシステムは、現在検討している将来の構想です。現時点で利用できる機能として紹介するものではありません。
1. 荷主企業様が急いで配送を探すのは、どんなとき?
――荷主企業様が、急いで運送会社を手配しなければならなくなるのは、どのような場面でしょうか?
益子:
「例えば、お客様のさらにその先のお客様、つまりクライアントから、急に配送をお願いされたときですよね」
――予定していなかった配送が発生する場合ですね。
益子:
「そうです。あとは、本来発送しておかなきゃいけなかった荷物が漏れてしまっていたとか」
配送の手配が必要になる事情は、さまざまです。
急な追加注文。
予定していた出荷の漏れ。
既存の配送車両に荷物が積みきれなかった場合。
――予定していた車両が来ても、荷物を全部載せられないこともありますね。
益子:
「そうですね。そういうこともあると思います」
こうした状況では、荷主企業様は新たな配送手段を探す必要があります。
ただし、必ずしも当日配送とは限りません。
翌日の配送かもしれませんし、数日後の配送を急いで手配しなければならない場合もあります。
急いでいるのは、配送そのものではなく、手配の判断である場合もあるのです。
2. まず知りたいのは「運べるか」と「いくらか」
――そうした状況で、荷主企業様が最初に知りたいことは何でしょうか?
益子:
「まずは、走れるのかどうかですよね」
――配送できるかどうか、ということですね。
益子:
「そうです。あとは金額ですね。いくらで運べるのか」
荷主企業様が必要としているのは、必ずしも最初から詳しいサービス説明ではありません。
自社が希望する日時に配送をお願いできるのか。
希望する荷物を運べるのか。
そして、費用はいくらくらいになるのか。
この二つの情報が分かれば、社内で次の判断を進めやすくなります。
反対に、どちらも分からない状態では、手配を進めることができません。
運送会社に問い合わせる。
折り返しの連絡を待つ。
配送条件を説明する。
見積もりを依頼する。
こうした手順が必要になること自体は、決して悪いことではありません。
しかし、荷主企業様が急いでいるときには、その一つひとつが負担になることもあります。
3. 問い合わせる前に、空き車両が分かったら?
――その負担を減らすために、どのような仕組みが考えられるでしょうか?
益子:
「これは本当にこれからの構想段階なんですけど、まず空き車両があるかどうかを、問い合わせなくても確認できたらいいですよね」
例えば、北条送運のホームページで配送希望日を選択すると、その日の車両の空き状況が確認できる。
あるいは、現在の運行予定をもとに、対応できる可能性があるかどうかが表示される。
そのような仕組みがあれば、荷主企業様は電話やメールをする前に、一つの判断材料を得られます。
もちろん、車両に空きがあるというだけで、すべての配送に対応できるわけではありません。
荷物の大きさや重量。
集荷先と納品先。
希望する時間帯。
車両の積載条件や運行予定。
こうした条件を確認する必要があります。
そのため、表示できるとしても、最初はあくまで対応可能性の目安です。
最終的な配送可否は、必要な条件を確認したうえで判断することになります。
それでも、何も分からない状態から一歩進めることには意味があります。
4. 見積もりまで、二つか三つの質問でたどり着けたら
――空き状況以外にも、考えていることはありますか?
益子:
「軽貨物営業因数分会の中で、ある会社の方が出してくれたアイデアなんですけど、例えば公式LINEなどを使って、二つか三つくらいの質問で見積もりができたらいいんじゃないか、という話がありました」
運送見積もりでは、荷物や配送条件について確認する必要があります。
しかし、その確認方法が複雑であれば、見積もりを依頼すること自体が負担になってしまいます。
そこで、最初に必要な情報をできるだけ絞り込む。
例えば、配送予定日。
集荷先と納品先。
荷物の内容。
こうした基本情報から、まずは概算運賃を提示できないか。
さらに、荷物の写真を送ることで、大きさや積載条件の確認を補助する方法も考えられます。
ただし、写真だけで寸法や重量を完全に把握できるとは限りません。
必要に応じて追加の情報を確認し、正式な見積もりにつなげる仕組みが前提です。
――大切なのは、最初からすべてを入力してもらうのではなく、必要な情報に少ない操作でたどり着けることですね。
益子:
「そうですね。少ない操作で、一旦欲しい情報までたどり着けるということです」
5. AIで何でも確定するわけではない
ここまでの話では、車両の空き状況や概算運賃を、できるだけ簡単に確認できる仕組みについて紹介しました。
しかし、運送業務では、速さだけを優先することはできません。
軽貨物車両には積載できる重量や寸法の限界があります。
配送先までの距離や時間帯によっても、対応できる条件は異なります。
そして、運転するドライバーの運行予定や安全面も考慮する必要があります。
そのため、AIが提示する情報と、実際に配送を引き受けられるかどうかは、区別しなければなりません。
例えば、
「この日時であれば対応できる可能性があります」
「概算運賃はこのくらいです」
という情報を先に届ける。
そのうえで、正式な依頼については担当者が確認する。
こうした役割分担が考えられます。
AIは判断を助ける道具であって、確認すべき条件を省略するための道具ではありません。
簡単に問い合わせられることと、安全で確実な配送を行うこと。
どちらも大切にしたいと考えています。
6. お客様が本当に欲しいのは、長い説明より先に結論
今回のインタビューで、益子が挙げた例え話があります。
それは、営業活動の報告です。
――運送見積もりの話と、営業報告にはどのような共通点があるのでしょうか?
益子:
「営業の報告でも、上司から『どうだったの?』と聞かれたときに、お客様がこういう状況で、こういう話があって、と最初から説明する人がいますよね」
――状況を順番に説明する人ですね。
益子:
「そうすると、『結論から話してくれ』と言われることがあるじゃないですか」
これは、物流の問い合わせにも通じる話です。
荷主企業様が急いでいるとき、最初に欲しいのは判断に必要な情報です。
運べるのか。
運べないのか。
いくらくらいかかるのか。
もちろん、その後には理由や条件の説明も必要です。
しかし、最初から長い説明を聞かなければ結論にたどり着けないとしたら、急いでいる荷主企業様にとっては負担になることがあります。
――だから、まず結論に早くたどり着けるようにしたいということですね。
益子:
「そうです。できないというときも含めて、少しでも早く伝えてあげたいんです」
ここは、非常に重要な考え方です。
運送会社にとって、すべての依頼に対応できることが理想とは限りません。
対応できない条件であれば、そのことを早く伝える。
そうすれば、荷主企業様は別の手配方法を検討できます。
できる場合も、できない場合も。
できるだけ早く判断材料を届けることが、荷主企業様のためになるのです。
7. 減らしたいのは、手間だけではなく「焦り」
――今回の仕組みで、荷主企業様にどのような価値を届けたいですか?
益子:
「お客様が『どうなんだろう、どうなんだろう』『やばい、早くしなきゃ』と焦っている、その心の焦りとかモヤモヤを、すぐに取ってあげたいということですね」
運送会社の問い合わせフォームを短くする。
見積もりを簡単にする。
空き車両を確認できるようにする。
それらは、表面的には業務効率化の取り組みに見えるかもしれません。
しかし、その先には、荷主企業様の気持ちがあります。
配送を間に合わせられるだろうか。
費用は予算に収まるだろうか。
社内に何と説明すればよいだろうか。
もし対応できる会社が見つからなかったら、どうしよう。
こうした不安を抱えているときに、まず必要な情報が手に入る。
たとえ正式な回答まで少し時間が必要でも、次に何をすればよいかが分かる。
それだけでも、荷主企業様の負担を減らせる可能性があります。
今回のAI活用構想は、単に入力操作を減らすためのものではありません。
荷主企業様が抱える「分からない時間」を、できるだけ短くするための取り組みなのです。
8. 「日本一ハードルの低い運送見積もり」を目指して
北条送運が目指しているのは、「日本一ハードルの低い運送見積もり」です。
この言葉は、見積もりの金額を日本一安くするという意味ではありません。
荷主企業様が、運送について相談したいと感じたとき。
できるだけ少ない負担で問い合わせられること。
必要な情報を、分かりやすく伝えられること。
そして、対応できるかどうかについて、できる限り早く判断材料を得られること。
そうした体験を目指すものです。
もちろん、現在は構想・検討の段階です。
今回紹介した車両の空き状況表示や、少数の質問による概算見積もりなどが、すでに利用できるわけではありません。
また、将来これらの機能が実現したとしても、すべての依頼について即時に正式回答できるとは限りません。
荷物や運行条件によっては、個別の確認が必要になります。
だからこそ、技術で省略できる部分と、人が判断すべき部分を整理しながら、仕組みを考えていきたいと思います。
おわりに|結論までの距離を短くする
AI活用編の第1日目では、商談内容を正確に記録することで、荷主企業様に同じ説明を繰り返していただく負担を減らせないかと考えました。
第2日目では、AIに会社の特徴を正しく理解してもらい、必要としている荷主企業様が適切な運送会社を見つけやすくするための情報発信を紹介しました。
そして今回の第3日目は、運送会社を見つけた後の話です。
「運べるのか」
「いくらかかるのか」
その答えに、もっと早くたどり着けないだろうか。
AIを活用することによって、荷主企業様の問い合わせの手間を減らし、判断までの時間を短くする。
そして何より、困っているときの焦りや不安を、少しでも減らす。
それが、北条送運が目指す方向です。
「できる」だけでなく、「できない」も早く伝える。
荷主企業様が次の判断をするための情報を、できるだけ早く届ける。
運送会社にとっての効率化が、荷主企業様にとっての安心につながるように。
北条送運は、これからも「日本一ハードルの低い運送見積もり」の実現に向けて、仕組みづくりを検討していきます。
北条送運合同会社
安全運行・高品質・高収益を大切に、荷主企業様の物流課題に向き合う軽貨物運送会社。
北条くんの日常|AI活用編・第3日目・完