はじめまして。北条送運の代表の益子です!

今回、軽貨物の事故件数と宅配便取扱個数の関係について、資料を調べる機会がありました。

軽貨物の事故が増えているという話は、以前から耳にしていました。

ただ、「事故が増えています」で終わらせてしまうと、本当に考えなければならないことが見えなくなってしまいます。

なぜ増えているのか。

その背景にある働き方や収益の仕組みまで見ていくと、事故は運転する人だけの問題ではないと感じました。

軽貨物の事故は、荷物量だけの問題なのか

国土交通省の資料をもとに整理すると、軽貨物の事故件数は2016年度の3,654件から、2021年度には4,616件へ増えています。

5年間で、26.3%の増加です。

同じ5年間で、宅配便取扱個数は22.7%増え、軽貨物車両の保有台数も31.4%増えています。

荷物が増え、走る車が増えれば、事故の総数が増えるのはある程度自然なことかもしれません。

しかし、保有台数1万台あたりの死亡・重傷事故件数も、2016年度から2023年度にかけて約40%増えています。

そう考えると、「車の台数が増えたから、事故も増えた」だけでは説明しきれない部分があります。

事故と、単価と、時間はつながっている

軽貨物、とくに宅配の仕事は、配った個数によって報酬が決まる案件が多くあります。

一個あたりの単価が低ければ、同じ収入を得るためには、より多くの荷物を配らなければなりません。

配る個数を増やそうとすれば、稼働時間が長くなる。

一件にかけられる時間や休息時間が少なくなる。

焦りや疲労が積み重なれば、安全確認が雑になる可能性もあります。

だから、事故をドライバー個人の注意力だけで考えることには限界があります。

安全運行を求めるのであれば、その安全を守れる単価と時間になっているかも、一緒に見なければならない。

今回、数字を調べながら、改めてそう思いました。

なぜ、この問題には踏み込みづらいのか

今の宅配や軽貨物の仕組みは、荷主企業様、元請会社、協力会社、そして現場のドライバーなど、多くの立場が関わりながら長い時間をかけてつくられてきました。

一つの条件を変えれば、別の現場や担当者の負担に影響することもあります。

だから、単価や拘束時間の問題は、どこか一社、誰か一人の判断だけで簡単に変えられるものではありません。

変えにくい事情がそれぞれにあるからこそ、誰かを責めるのではなく、安全な運行と持続できる収益をどう両立するかを、関係する人たちが一緒に考える必要があります。

一度にすべてを変えるのが難しくても、まず現状を数字で知り、できるところから見直していく。

その積み重ねが、仕組みを変える入口になると思っています。

下請けとしてルールを受け取るだけではなく、ルールを一緒につくる

だから北条送運では、すでに出来上がった仕事をそのまま請け負うだけではなく、できる限り荷物を実際に出している荷主企業様と直接話をすることを大切にしています。

御社の荷物は、もちろん運びます。

ご要望にも、可能な限り応えます。

ただし、私たちは運送会社です。

安全や法令を守れなくなるような条件であれば、

「どうすれば双方にとって無理のない運用にできるでしょうか」

と、荷主企業様と話し合う。

与えられたルールの中で走るだけではなく、安全に運べるルールを一緒につくる側に回る。

これが、北条送運のやろうとしていることです。

安全運行は、高品質の前にある

事故を起こさない。

荷物を壊さない。

誤配をしない。

これは「高品質」と呼ぶ前の、運送会社としての土台だと思っています。

テレビのケーブルが高品質をうたう時に、「映像が映ります」「音が途切れません」とは言いません。

それは、商品として当たり前の条件だからです。

運送も同じです。

事故も、ミスも、クレームもない。

その土台があったうえで、荷主企業様の意図を理解し、現場に合う提案をし、「また、あなたにお願いしたい」と思っていただける仕事をする。

そこまで出来て、初めて高品質と呼べるのだと思います。

「事故がありません」は価値になるのか

もちろん、事故がないことはとても大切です。

ただ、「事故を起こしません」というだけで、高い運賃をいただけるわけではありません。

安全運行は、価値を届けるためのスタート地点です。

そのうえで、荷主企業様の困りごとを聞き、配送方法を工夫する。

積み方、渡し方、時間の使い方、連絡の仕方。

現場で身につけた技術や知識を使って、配送の前後まで含めて役に立つ。

そこに、北条送運がつくるべき価値があると考えています。

良い仕事を、ボランティアにしない

丁寧に運ぶ。

荷主企業様の手間を減らす。

現場の問題を一緒に考える。

それによって喜んでいただけたなら、その価値に対して適正な対価をいただく。

どれだけ良い仕事をしても、それをすべて無償のサービスにしていたら、会社もドライバーも続きません。

会社に利益を残し、教育や車両、安全管理へ投資する。

ドライバーにも適正に還元する。

それが結果として、次の安全と品質につながります。

長く働くのではなく、技を磨く

時間を増やせば、売上は増えるかもしれません。

でも、時間には限界があります。

体力にも、集中力にも限界があります。

限界を超えて走り続ける働き方を前提にしてしまえば、安全は長く続きません。

時間を切り売りするのではなく、技と知識を磨いて価値に変える。

同じ一時間でも、より安全に、より丁寧に、荷主企業様の事業により役立つ仕事へ変えていく。

その価値に見合った対価をいただき、会社とドライバーが無理なく続いていける状態をつくる。

北条送運は、安全運行を土台に、高品質と高収益を両立できる軽貨物会社を目指します。

事故の数字を調べた先で、私がたどり着いたのは、この考えでした。